第10回日本CNS看護学会

ご挨拶

第10回日本CNS看護学会大会長 武用 百子

この度、第10回日本CNS看護学会を2023年6月10日(土)、11日(日)の2日間にわたり、京都テルサ(京都市南区)において開催する運びとなりました。
2014年に初めて開催されたこの学会も、来年で10回目という記念すべき大会となりました。その間、専門看護師の真価を問い、高度実践看護の力の創出について議論し、役割の拡大の可能性などについても問い続けてきました。そういった10年間の軌跡を大切にし、第10回大会のメインテーマは 「専門看護師の未来を創造する~分野を超えた専門性の明確化~」といたしました。

我が国は、超高齢化社会における多死社会や少子化を迎え、認知症の患者さん、慢性疾患を持ちながら療養する患者さん、メンタルヘルスの諸問題を抱える患者さんなど、複合的で複雑な健康問題を抱えながら生活する方が増加しました。加えて、新型コロナウィルスの影響で自殺率、女性に対する暴力や虐待が増加し、さらに長引くコロナ禍においては子どもたちも強いストレスにさらされており、全国の小中学校で不登校の生徒数は2020年度には19万人を超え、過去最多となっています。もはや全ての国民が、健康上の問題をはらんでいると言っても過言ではありません。

このような問題を背景に、私たち高度実践看護師としての専門看護師も、ますます多くの専門職とタッグを組んでかかわっていくことが求められています。
そこで第10回大会では、大きく2つの柱を軸として講演やシンポジウムを検討しております。1つ目は、複合的で複雑な健康問題を抱える患者さんへの介入として、“高度実践看護の実践とは何か”ということです。2つ目は“高度実践看護としての倫理調整とは何か”ということです。これらを明確にすることで、2040年問題を見据え、“高度実践看護師はどのように活動していくべきであるのか”について検討したいと考えております。一般演題では、皆様の日々の研究や実践を報告しあい、多くの参加者の方々と忌憚のないディスカッションを進めていくことを願います。

最後に、新型コロナウィルスが猛威を振るった2019年~2022年は、その対応で皆さんも慢性疲労の状態にあると思います。そのためこの学会では、学術的なテーマの他にも、根底に癒しをテーマに、京都のおもてなしを様々な場面にちりばめたいと考えて準備をしております。是非、多くの皆様に京都まで足を運んで頂き、その疲れも癒して頂きたいと思っております。

皆様のご参加を心からお待ちしております。

第10回日本CNS看護学会
大会長 武用 百子
大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
教授 精神看護専門看護師